5pb./Nitroplusによる同名のコンピュータゲームを原作としたTVアニメーション、全24話+1話。
総監督は、Fate/Stay Nightのシリーズ構成を手がけた佐藤卓哉。
舞台は2010年夏の秋葉原。
陰謀論的世界観に侵された厨二病から抜け出せない東京電機大学の1年生岡部倫太郎は、狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真(ほうおういんきょうま)を自称し、幼馴染のコスプレイヤー椎名まゆり(マユシー)、ヲタクでハッカーの橋田至(ダル)を構成員とする未来ガジェット研究所なるラボを構え、世界の支配構造の変革をめざし、なにやら怪しげな発明行為に勤しんでいる。
ラボの位置は秋葉原駅から中央通りを上野方面に向かい、末広町の交差点を蔵前通りに左折、次の信号の一本手前の路地を左に入ったところにある雑居ビルの2階と設定されている。
物語は、ラジオ会館内のイベントホールで行われた中鉢博士のタイムマシンに関する研究発表会から始まる。
岡部は、マユシーとでかけたその研究発表会で、18歳でSCIENCY誌に研究論文が掲載された天才少女、牧瀬紅莉栖(マキセ・クリス:クリスティーナ)と出会う。ところが、岡部はその数分後にラジオ会館の8階奥で大量の血溜まりの中に倒れているクリスを目撃し、そのことをダルへ携帯メールで報告した直後に眩暈に襲われ、無人の秋葉原の幻像を見る。
岡部が我に返ると、ラジ館屋上には人工衛星らしきものが墜落しており、周辺は警察によって封鎖されている。そして、さっき送ったはずのメールはなぜか1週間前の日付で受信されており、周囲の知人が話すここ最近の出来事と岡部の記憶の間には、齟齬が生じていた。そして眼の前に現れる死んだはずのクリス。驚愕する岡部。
事情に興味を抱いたクリスを巻き込んでの検証の結果、未来ガジェット研究所の発明品の1つである「電話レンジ(仮)」(未来ガジェット8号)が、偶然にも携帯メールを過去へと送るタイムマシンとしての機能を備えていたことが判明。岡部たちはタイムマシンの機能とその機序を検証するために、徐々に周囲の人間を巻き込みながら、過去を改変する情報を担ったメールを送り続けるが、その度に世界は様相を変えていく。クリスが「Dメール」と命名した、過去へのメールを送るたびに「世界線の移動」と呼ばれる現象が発生し、世界が変わっていくのだが、なぜか岡部の記憶だけはそのままに、メールのメッセージ内容に影響を受けた人々の過去が改変されていく。
そして、繰り返された世界線の変更は、やがて決定的な閾値を越え、はじめに岡部がいた世界(β世界)と決定的に異なるα世界へと迷い込む。それは、椎名まゆりの死が決定されてしまった世界であり、岡部には容認することのできない世界だった。
岡部は椎名まゆりの生存を取り戻すために、時間跳躍を繰り返し、無限とも思われる時間のループに囚われながらも一つ一つ過去改変の履歴を遡行していく。だが、その先にはより残酷な運命が待ち受けていた...
本作のストーリー構成を要約すると、ざっと上記のようになるが、物語としての伏線の張り方は見事であり、その完成度は非常に高い。文句なく傑作である。昨今はゲームを原作としたアニメーションが非常に多いが、本作はゲームもプレイしてみたいと思った初めての作品である。
時間のループや改変といった点では、涼宮ハルヒシリーズや魔法少女まどか☆マギカに類比的な構成ともいえるが、道具立てはもう少しマニアックな方向に振ってあり、魅惑的なガジェット類で彩られている。
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