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東西南北舎

東西南北舎は東西南北人の活動に伴い生成したテクスト群の集積地である。「東西南北人」は福岡の儒者亀井南溟が秘蔵した細川林谷篆刻の銅印。南溟の死後、息子の亀井昭陽から、原古処、原釆蘋、土屋蕭海、長三洲へと伝わり、三洲の長男、長壽吉の手を経て現在は福岡県朝倉市の秋月郷土館に伝承されたもの。私の東西南北人は勝手な僭称であるが、願わくば、東西南北に憚ることのない庵舎とならんことを祈念してその名を流用させて頂いた。

   

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R.I.P. レスト・イン・ピース 杉山幌著(講談社 2009年10月2日)

 一人称小説である。
 おそらくは今から数年後から十数年後、そうなっているかもしれない日本。

++ここはどこにでもある一つの街だ。先住民系と移民系の二つのサッカークラブがある。一見対立しあっているが、実はそんな簡単じゃない。グループは先住民系、中華系、ラテンアメリカ系の三つに分かれる。言語的には日本語、中国語、ポルトガル語、スペイン語の4つになる。(改行)4つの言葉を話し、3つに分かれた体を持ち、2つの心が溶け合う、1人の人間。(改行)それがこの街だ。ここで生まれ育った誰もが、この街を自分の内に持っている。(p.255)

 この小説は、そんなふうにグローバル/グローカル化してしまった日本の地方都市を舞台として設えた冒険小説であり、主人公は、先住民系高校生の「おれ」である。

 おれには、ブラジル系移民のフットボールフリークスでダービーマッチに熱狂するジオと、ドグラマグラを愛読するミステリマニアで、この街に広く移民を受け入れる決断をした市長の孫であり、それを誇りに思うと共に、そのことを誇りとすることができず、純潔主義者と結託しようとしている父親に抗うサチコという、同級生の二人の友がいる。

 よくある青春のトリアーデだが、ある日ジオが不慮の死を遂げてしまうところから物語は動き出す...とまあこのような展開なのだが、その文体に漂う本格感とドライな世界構築にはどことなく伊藤計劃を彷彿とさせるものがある。

 今後に期待したい。
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プロフィール

HN:
東西南北人(中島久夫)
性別:
男性
自己紹介:
なお、本ブログに関するお問い合わせ等につきましては、以下のメール・アドレスまでお寄せください。
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