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東西南北舎

東西南北舎は東西南北人の活動に伴い生成したテクスト群の集積地である。「東西南北人」は福岡の儒者亀井南溟が秘蔵した細川林谷篆刻の銅印。南溟の死後、息子の亀井昭陽から、原古処、原釆蘋、土屋蕭海、長三洲へと伝わり、三洲の長男、長壽吉の手を経て現在は福岡県朝倉市の秋月郷土館に伝承されたもの。私の東西南北人は勝手な僭称であるが、願わくば、東西南北に憚ることのない庵舎とならんことを祈念してその名を流用させて頂いた。

   

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Self-Reference ENGINE 円城塔著(早川書房 2010年2月10日)

 非常に手の込んだ冗句、だが、手が込み過ぎていて笑うに笑えないというのが正直なところか。

 Self-Reference ENGINEとは、直訳すれば「自己言及の原動機」ということになるが、自己言及的な結構を取り入れた小説、というより物語と隣接する表現形式は古来より数多く、それらをイチイチ指摘しはじめると枚挙に暇がなくなる。そのような自己言及のパラッドクスを主題とすることは、この種の表現形式が孕むジャンル構成の危機において要請される典型的なモードであるということができる。この種の表現が要請しているのは、たいていの場合、読者論である。

 本書はオムニバス短篇の集積によって構成された長篇SF小説ということになっている。勿論、その看板に偽りはないが、この形式も私の好みではないということは言っておく。

 ここで内容を逐次言挙げすることはしない。その種のものが読みたい方は文庫版の佐々木敦の解説を繙けばそれで済むからである。

 ただ、本書に関する印象を類比的に示しておくと、本書のエンジンは同じエンジンでも内燃機関のエンジンではなく、外燃機関のスターリングエンジン (Stirling engine)をイメージさせる。スターリングエンジンとは、シリンダー内のガスを外部からの加熱や冷却によってエネルギーを得る外燃機関で、理論的には高効率のエネルギー変換を可能にするシステムであることが早い段階から指摘されているのだが、実用性の点でさっぱり...というものである。
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プロフィール

HN:
東西南北人(中島久夫)
性別:
男性
自己紹介:
なお、本ブログに関するお問い合わせ等につきましては、以下のメール・アドレスまでお寄せください。
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