テクストを読んでしまうこと、終わりなき夜の言葉を書き連ねること。その営みの強靭さにおいて、本書が破砕しようと目論んでいるのは「終末論」であり、瀰漫する「終末論」のうちに崩れ落ちていく思考の隘路を切り開くことである。そこに賭けられているのは、終わりなき営み、終わりなき革命の担い手としての文藝の復興(ルネサンス)である。ここで、その賭け金とされているのが、「革命」である。
++われわれは革命から来ました。革命から生まれました。革命と聞いてわれわれが思い浮かべるあの革命よりも、遥か彼方にある革命から。もっと古く、もっと宏大な、そしてわれわれの想像を超えた革命から。(p.48)
本書では、世界史における数多の革命の中から欧米において生起した革命のみを取り上げ、そのうち最初の2つの革命が特に重要であるとされ、われわれの現在が、如何にその2つの革命の余波のうちにあるかを明瞭に指し示している。
その最初の2つの革命とは、通常「革命」の中には入らないとされているローマ法の再発見を淵源とする12世紀の「中世解釈者革命(教皇革命)」と、マルティン・ルターによる宗教改革「大革命」である。いずれもその中心にある営みは、徹底してテクストを読むという経験であり、その経験の不可能性である。本を読むということが、本来、如何に困難で恐ろしい行為なのか、本書はそのリアルな様態を示している。刮目すべき書であると思う。
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