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東西南北舎

東西南北舎は東西南北人の活動に伴い生成したテクスト群の集積地である。「東西南北人」は福岡の儒者亀井南溟が秘蔵した細川林谷篆刻の銅印。南溟の死後、息子の亀井昭陽から、原古処、原釆蘋、土屋蕭海、長三洲へと伝わり、三洲の長男、長壽吉の手を経て現在は福岡県朝倉市の秋月郷土館に伝承されたもの。私の東西南北人は勝手な僭称であるが、願わくば、東西南北に憚ることのない庵舎とならんことを祈念してその名を流用させて頂いた。

   

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幕末 維新の暗号 加治将一(祥伝社2007年4月21日)

 「フルベッキ写真」と呼ばれている幕末頃の集合写真がある。
 かつて新聞広告になったこともあるので、眼にされた方も少なくないと思うが、こちらである。

http://www.nextftp.com/tamailab/photo/verbeck.html

 この写真が最初に公開されたのは明治28年のことだそうだが、当初は「フルベッキが佐賀藩の学生と共に撮影した写真」とされていた。それが本格的に議論の対象となったのは、昭和49年に自称肖像画家の島田隆資が人物の比定を試み、西郷隆盛が写っている、と主張しはじめ、それが、やがて上記に示されているように、幕末維新の功労者が一同に会した、とんでもない写真という説が流布するようになった。そして、その中心に座しているのは、明治天皇であり、そこから明治天皇のすり替え説が飛び出すことになる。
 本書は、このフルベッキ写真の謎を追う、歴史ミステリー仕立ての小説のようなものである。展開としては、松本清張以来の歴史の謎を調べて歩くトラベルミステリーといった類で、私は読んでいないが、仄聞する「ダヴィンチ・コード」の柳の下のどじょうを狙ったマーケティングによって仕立てられた書物のように思われる。実際、そこそこ売れたようである。
 まあ、読み物としては面白いのだが、本書の中での人物同定の仕方は、お世辞にも褒められたものではなく、それによって構築されている著者の仮説の信憑性を減殺する結果となっている。それゆえの小説めいた構成なのかもしれないが、歴史は全て物語りとしてしか語りえないとしても、このやり方は少々あくどい。
 だが、写真自体は幕末・明治期のものであることに間違いはなく、そこに写っている侍たちの容貌には不思議な魅力がある。この写真についての本格的な歴史考察としては、本書への反駁として慶応義塾大学の高橋信一氏がものした以下の文章を挙げることができるが、この考察も十分なものではなく、この写真が未だ謎に満ちていることもまた確かである。

http://pro.cocolog-tcom.com/edu/2007/01/post_1dcc.html

 フルベッキについては、明治天皇につて「ミカド」(岩波文庫)という本を書いている米国人W.E.グリフィスに、Verbeck of Japan(「新訳考証 日本のフルベッキ:無国籍の宣教師フルベッキの生涯」村瀬寿代訳編、洋学堂書店、2003年1月)という著書があるようだが、残念ながら、本書は絶版状態である。
 本書では、このフルベッキがフリーメーソンのメンバーで、明治維新の影の立役者として非常に大きな働きをしたのではないか、という話になっているのだが...
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プロフィール

HN:
東西南北人(中島久夫)
性別:
男性
自己紹介:
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