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東西南北舎

東西南北舎は東西南北人の活動に伴い生成したテクスト群の集積地である。「東西南北人」は福岡の儒者亀井南溟が秘蔵した細川林谷篆刻の銅印。南溟の死後、息子の亀井昭陽から、原古処、原釆蘋、土屋蕭海、長三洲へと伝わり、三洲の長男、長壽吉の手を経て現在は福岡県朝倉市の秋月郷土館に伝承されたもの。私の東西南北人は勝手な僭称であるが、願わくば、東西南北に憚ることのない庵舎とならんことを祈念してその名を流用させて頂いた。

   
カテゴリー「アニメーション」の記事一覧

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Q

 使徒に吸収されてしまった綾波レイを救い出すことによって、それまでにない精神的高揚に達した碇シンジ。BGMは「翼をください-by林原めぐみ」。だが、その高揚の瞬間に、旧世紀版の最後のシ者:渚カヲルによって月から投擲されたロンギヌスの槍で凍結されてしまうヱヴァンゲリヲン初号機。宇多田ヒカルのエンドロール「Beautiful World」、そして葛城ミサト(三石琴乃)のナレーションによる予告編。

 あれから3年と少し経った。

 当初、Qは序破急の急だった筈だが、物語の構造としては、完全に起承転結の転となっていた。
 前作において、能動性への契機を見出したかにみえた碇シンジは再びその足場を喪失する。自覚なき罪障、他者から突き付けられる悪意と求められる贖罪。自覚なき罪を自覚するためのプロセス。そして、人類補完計画は次作へと留保される。

 まあ、そんなところだろうか。
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「氷菓」完結 Regionalismの再構築

 京都アニメーション制作の「氷菓」(全22話+1話(OVA)原作・構成協力:米澤穂信、監督:武本康弘)が完結した(既に先週のことだが)。
 「涼宮ハルヒの憂鬱」以降、雨後の筍の如く粗製乱造されている学園サークルもののアニメーションだが、この春~夏の期間だけも「Tari Tari」、「ココロ・コネクト」等といった作品が制作されている。これらの作品はいずれも5人グループのクラブ活動を描き、しかもその人員構成は大概女3人、男2人という涼宮ハルヒシリーズの男女構成比を踏襲している。
 しかし「氷菓」(原作は未読なのであくまでもアニメーションに準じて語るが)はこれと異なる女2、男2の4人の構成を取り、高校生男女2組が所属する古典部の1年間を描いている。本作の舞台は、飛騨高山をモデルとした山間の街神山市で、そこに所在する進学校の神山高校への新入生4人が主人公グループを構成している。
 その4人とは、生活上の省エネルギーを信条とするが、論理的な推理能力を有しているため、己の信条に反してしばしば探偵役を務めてしまうことになる折木奉太郎、豪農千反田家の一人娘で才色兼備の優等生、野生動物の如き鋭敏な感覚器官と無邪気な好奇心、そして素晴らしい料理の腕前を有する千反田える、奉太郎の友人で歩くデータベースを自認するも「データベースは結論を出せない」を信条とする福部里志、中学生の頃から福部里志に好意を寄せつつ、当の里志からはぐらかされ続けている図書委員で漫画研究会にも所属する伊原摩耶花である。
 本作は、この4人の古典部員が、その日常に遭遇する些細な謎をめぐるミステリーとなっており、それは例えば、神山高校の文化祭が何故「カンヤ祭」と呼ばれているのか、とか、文化祭で生じた悪意のみられない連続窃盗事件の犯人は誰か、といった形で出来するのだが、これらの謎や事件に対して、えるの「私、気になります」という言葉が発端となり、その無邪気な好奇心と、天然系の萌要素満載の追及に抗えない奉太郎が、それらの謎を解き明かしていく構成である。
 「原作に忠実に」をひとつの格率としている観のある京都アニメーションだが、本作もその例外ではないようで、描写の丁寧さはおそらく原作由来だろうが、神山市の風景描写や、古典部員たちの日常描写、そしてさりげなく丁寧な伏線の提示が見事であり、上質な時間の醸成に成功している。そして、彼らの1年間を通して、今地方に生きるということがどういうことか、という本作のサブテーマが浮き上がってくるように設えられている。

 最終話「遠まわりする雛」は、地元の伝統行事である「生き雛祭」で生雛を務めることになった千反田えるは、その傘持ち役を奉太郎に依頼するが、当初生雛の行列が通る予定の橋が工事で通れなくなっており、何故そんなことになってしまったのかが解き明かされるべき謎としてストーリーの主軸を成している。その謎は見事に奉太郎によって解き明かされるが、その帰り道、奉太郎と並んで歩くえるは、何故、今日奉太郎に来てもらったのかを告白する。

(える)無事大学に進学しても、私はここへ戻ってきます。
    どんなルートを辿っても私の終着点はここ、ここなんです。
(中略)
(える)私はここに戻ることをいやだとも、悲しいとも思っていません。
    千反田の娘として、相応の役割を果たしたいと思っています。
    そのための方法をずっと考えていました。
(奉太郎)方法、ねぇ...
(える)二つあると思います。
    ひとつは商品価値の高い作物を作ることでみんなで豊かになる方法、
    もうひとつは経営的戦略眼で経営を効率化し、みんなで貧しくならない方法、
    私は結局前者を選ぶことにしました。
(奉太郎)そのための理系選択か。
(える)はい。
(奉太郎)確かに、後のほうはあまりお前に向いていない気がする。
(える)ふっ。文化祭のとき、皆さんにさんざお手数をおかけしてわかりました。
    私、多分会社経営には向いていません。
(奉太郎)そうだな、そう思う、うん?
(える)見てください、折木さん、ここが私の場所です。水と土しかありません。
    人もだんだん老い、疲れてきています。
    私はここを最高に美しいとは思いません。
    可能性に満ちているとも思っていません。
    でも...折木さんに紹介したかったんです。

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人類は衰退しました

 監督は岸誠二、原作は田中ロミオによるライトノベル。
 現在の人類が衰退して数世紀を経た世界で、調停官となった旧人類の少女(わたし)と、新人類の「妖精さん」との交流を描いた物語である。
 ジャパニメーションのみならず、サブカル系の表現で「人類」という用語が採用されている場合、それはたいてい「日本」や「日本人」の換喩となっている。それはあのオタク第一世代を生み出した「宇宙戦艦ヤマト」(今、折しもそれが「宇宙戦艦ヤマト2199」としてリメイクされているが)等に顕著だが、本作もその枠組み自体を免れるものではない。つまり、これは「日本は衰退しました」と読み取ることができる。
 しかし、「人類は衰退しました」がユニークなのは、それをシニカルな表現手法として採用している点にある。その意味では、本作はかなり異色な作品ということができる。
 そこに描かれているのは、一見メルヘンチックでのどかな世界であるが、新人類として地球の覇権を握った「妖精さん」は人類と異なる生存原理に貫かれているようで、ユーモラスかつ不可解な存在として旧人類を翻弄している。
 主人公の「わたし」は、その妖精さんやそれに翻弄される旧人類の愚かさにシニックな視線を向けつつ、自らも調停官としてそのドタバタに巻き込まれていく。
 なお、本作の原作をSF作家の野尻抱介はシンギュラリティ(技術的特異点)SFとして評価しているそうである。
 技術的特異点とは、「未来研究において、人類の技術開発の歴史から推測して得られる未来のモデルの正確かつ信頼できる限界(「事象の地平面」)」(Wikipedia)であり、SFという文学ジャンルは、確かにそのような特異点にかかる描写をひとつのパラダイムとしてきた。

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STEINS;GATE

 5pb./Nitroplusによる同名のコンピュータゲームを原作としたTVアニメーション、全24話+1話。
 総監督は、Fate/Stay Nightのシリーズ構成を手がけた佐藤卓哉。

 舞台は2010年夏の秋葉原。
 陰謀論的世界観に侵された厨二病から抜け出せない東京電機大学の1年生岡部倫太郎は、狂気のマッドサイエンティスト鳳凰院凶真(ほうおういんきょうま)を自称し、幼馴染のコスプレイヤー椎名まゆり(マユシー)、ヲタクでハッカーの橋田至(ダル)を構成員とする未来ガジェット研究所なるラボを構え、世界の支配構造の変革をめざし、なにやら怪しげな発明行為に勤しんでいる。
 ラボの位置は秋葉原駅から中央通りを上野方面に向かい、末広町の交差点を蔵前通りに左折、次の信号の一本手前の路地を左に入ったところにある雑居ビルの2階と設定されている。
 物語は、ラジオ会館内のイベントホールで行われた中鉢博士のタイムマシンに関する研究発表会から始まる。
 岡部は、マユシーとでかけたその研究発表会で、18歳でSCIENCY誌に研究論文が掲載された天才少女、牧瀬紅莉栖(マキセ・クリス:クリスティーナ)と出会う。ところが、岡部はその数分後にラジオ会館の8階奥で大量の血溜まりの中に倒れているクリスを目撃し、そのことをダルへ携帯メールで報告した直後に眩暈に襲われ、無人の秋葉原の幻像を見る。
 岡部が我に返ると、ラジ館屋上には人工衛星らしきものが墜落しており、周辺は警察によって封鎖されている。そして、さっき送ったはずのメールはなぜか1週間前の日付で受信されており、周囲の知人が話すここ最近の出来事と岡部の記憶の間には、齟齬が生じていた。そして眼の前に現れる死んだはずのクリス。驚愕する岡部。
 事情に興味を抱いたクリスを巻き込んでの検証の結果、未来ガジェット研究所の発明品の1つである「電話レンジ(仮)」(未来ガジェット8号)が、偶然にも携帯メールを過去へと送るタイムマシンとしての機能を備えていたことが判明。岡部たちはタイムマシンの機能とその機序を検証するために、徐々に周囲の人間を巻き込みながら、過去を改変する情報を担ったメールを送り続けるが、その度に世界は様相を変えていく。クリスが「Dメール」と命名した、過去へのメールを送るたびに「世界線の移動」と呼ばれる現象が発生し、世界が変わっていくのだが、なぜか岡部の記憶だけはそのままに、メールのメッセージ内容に影響を受けた人々の過去が改変されていく。
 そして、繰り返された世界線の変更は、やがて決定的な閾値を越え、はじめに岡部がいた世界(β世界)と決定的に異なるα世界へと迷い込む。それは、椎名まゆりの死が決定されてしまった世界であり、岡部には容認することのできない世界だった。
 岡部は椎名まゆりの生存を取り戻すために、時間跳躍を繰り返し、無限とも思われる時間のループに囚われながらも一つ一つ過去改変の履歴を遡行していく。だが、その先にはより残酷な運命が待ち受けていた...

 本作のストーリー構成を要約すると、ざっと上記のようになるが、物語としての伏線の張り方は見事であり、その完成度は非常に高い。文句なく傑作である。昨今はゲームを原作としたアニメーションが非常に多いが、本作はゲームもプレイしてみたいと思った初めての作品である。
 時間のループや改変といった点では、涼宮ハルヒシリーズや魔法少女まどか☆マギカに類比的な構成ともいえるが、道具立てはもう少しマニアックな方向に振ってあり、魅惑的なガジェット類で彩られている。

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Another

 綾辻行人原作のホラーアニメ。全12話。
 お決まりのメディアミックス展開で、漫画、アニメときて、次は実写映画にもなるようだが、私は原作は読んでいない。
 アニメーションは、キャラクター原案が「涼宮ハルヒ」のいとうのいぢ、監督は「xxxHOLiC」や「侵略!イカ娘」の水島努、制作は富山県に本拠を構えるP.A.WORKS。
 物語は、1998年の春、とある山間の街、夜見山市の夜見山北中学の3年3組に転校してきた榊原恒一をめぐって展開する。彼はそこで片目の少女、見崎鳴(ミサキメイ)と知り合うが、彼女の存在はクラスメイトからなぜか無視されている。やがて、その周囲で異様な人死にが続発することになる。
 原作を読んでいないので、ストーリー構成の評価は控えたいところだが、全体として細君の小野不由美の「屍鬼」に近い雰囲気を醸し出している。だが、クライマックスは綾辻らしく、館である。
 正直なところ、ホラーというのは、あまり得意な分野ではないのだが、本作はなかなか心得た演出で感心した。

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東西南北人(中島久夫)
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